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8 技術的政策の分類図

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投稿日時
2021-05-31 18:43:50

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平 一

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科学・技術と制度・政策には、
経済・社会活動に働きかける際の
直接・間接・自助・互助といった|経路《ルート》の違いに応じて、
それぞれ4つの区分がありました。

技術と政策の互助ルートのうち、
政策側のルートが技術的(いわゆるハード的)政策でしたが、
それはさらに、技術のどのルートを助けるかによって、
3つのルートに分けられます。

(1)社会工学的政策……共同対処ルート
主力(中核)技術を助けるルートです。
資源保全・環境保護や防犯・防災において、
民間団体や市民の協力を促すため、
防災団体支援やごみ出しルール周知など、
社会工学的な組織・啓発技術を用いる政策です。
経済・社会活動全体を大きく変えてしまうような、
主力技術の悪用・誤用・副作用を防ぎ、活用するために、
自らもまた広く、経済・社会活動の中で共に働く、
といった特徴があります。
豊かな工業社会では、大災害時に消防署だけでは手が足りず、
皆でルールを守らないと街はごみであふれてしまいます。
便利な情報社会では、特殊詐欺対策に銀行の協力も必要です。
名前の印象とは違って、
政策の実施を助ける社会工学の力を借りながら、
実は大きな主力(中核)技術の活用を助ける政策といえます。

(2)|社会基盤《インフラ》政策……部分支援ルート
関連(周辺)技術を助けるルートです。
主力(中核)技術を物的資源に具現化する、
土木・電気・通信技術など関連(周辺)技術の健全性を保つため、
一般的な経済・社会活動からは得にくい支援を提供する政策です。
例えば、自動車や家電・パソコンなら民間市場が供給できますが、
公共施設や交通・|動力《エネルギー》・通信網など、
|社会基盤《インフラストラクチャー》の建設には公的な出資や調整も必要なので、
そうした大規模な物的資源の整備を行う政策です。

(3)研究・開発政策……特別注文《カスタムメイド》ルート
研究・開発技術を助けるルートです。
科学・技術の研究・開発自体の効率性を高めるために、
利害を調整する政策です。
広い意味では経済・社会活動の一部とはいえ、
先行投資、情報の守秘・共有、社会的影響への配慮などの
必要性がある、研究・開発事業の特殊性に応じ、
いわば|特別注文《カスタムメイド》の支援を提供する政策です。
英国が産業革命、米国が情報革命に成功した大きな理由に、
民間組織も含めた研究・開発政策の努力があげられます。

もっとも以上については、理論的な分類であり、
現実的には重なることもあります。
技術同士、政策同士、技術と政策の対象はつながることがあり、
政府や研究機関の活動も広義では経済・社会活動の一部であるうえ、
実質的には企業などでの技術開発や政策決定も多いからです。

校舎の建設は、教育政策と共に防災|社会基盤《インフラ》政策にもなりえます。
新技術による通信網の開発・建設支援は、
研究・開発政策にも、|社会基盤《インフラ》政策にもなり得ます。
企業による先端技術開発への支援は、
研究・開発政策と共に産業政策にもなりましょう。
同じ福祉法人や財務諸表が、組織・会計技術の成果であると共に、
経済・社会政策の手法である、といえるような場合もあります。

そうした重なりを考えるのも面白く、
さらなる政策の立案や連携に役立ちうるのではないかと思います。
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