投稿日時 2022-05-05 01:24:58 投稿者 平 一 このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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文明課題を、富の生産に関わる課題と 富の配分に関わる課題に分けると、 前者は主に技術、後者は主に政策が 解決するという視点の図です。 (1)文明課題の分類 文明生活もそれ以前の生活と同様に、 生きるために必要な資源を、 〝自然〟から得て、〝人々〟の間で分ける ことにより営まれます。 (ここでは他の図での〝富〟を、 より学問的に〝資源〟と書きました。) ここでいう〝自然〟とは、 〝ああすればああなる、 こうすればこうなる〟という、 一定の法則に従う文明活動の客体をいい、 医学や社会科学の対象としての、 個人や社会も含まれます。 また〝人々〟とは、 〝ああするのがいいか、 こうするのがいいか〟を、 一緒に考えて決める文明活動の主体をいい、 今は無理でも将来はできうる、 赤ちゃんなども含まれます。 そこで様々な社会の問題を理論的にみると、 生きるために必要な資源を 〝自然〟から得る生産の問題と、 〝人々〟の間で分ける分配の問題に、 分けることができます。 その2つをさらに詳しくみると、 次の4つの問題に分けられます。 ① 資源枯渇(資源入手の困難) …… 特定の資源が不足すること ② 環境破壊(資源利用の衝突) …… ある資源の利用が、 環境内にある他の資源を損なうこと ③ 貧困・不公正(利害調整の不調) …… 資源の分配が、 文明の発展上好ましくない状態になること ④ 戦争・犯罪 (利害調整の失敗) …… 公正感覚の不足や齟齬《そご》(食い違い) による行動、あるいはその是正活動が、 さらなる資源の損失を招くこと (2)技術と政策の役割分担 技術は資源の生産、 政策は資源の分配の活動というなら、 逆にこれを問題の側からみると、 資源の(確保も含めた)生産の問題は 技術の対象となり、 資源の(再投資も含めた)分配の問題は 政策の対象となりそうです。 しかし現実的には、 4つの問題は相互作用の関係にあります。 技術と政策という解決手段にも、 助け合うところがあります。 また、すぐには根本的な解決ができず、 まずは対症療法が必要な場合もあります。 例えば環境問題で、 技術的な解決がすぐにはできなければ、 利害調整を行う政策による 解決の部分が大きくなります。 戦争や犯罪でも、 政策による抑止が十分にできなければ、 実力勝負の技術による 解決の部分が増えてきます。 そこで様々な問題の解決策もまた、 図のように「主として」、 技術あるいは政策の効果が大きい、 となります。 もっともこの分類では、 環境問題に生活習慣病も含まれてしまいます。 しかし、今では体内環境という言葉もあり、 理論的にはこれでよいと思います。 また戦争は、内戦なども含めて 紛争と呼びうるかもしれませんが、 法的紛争などは社会における健全な 利害調整という部分もあるので、 分かりやすい戦争という言葉を使いました。 (3)異なる視点 この図9は、 『技術は主に生産課題、 政策は主に分配課題を解決する』 という考え方に立ちますが、 異なる視点もあります。 次の図10の、 『社会課題を解決するのは あくまでも政策であり、 技術はそのための手段である』 という視点です。 図9と図10の関係は、 図3の社会学的説明図と、 図4の生物学的説明図の違いに 似ていると思います。 図3は『技術は自然環境、 政策は社会環境に働きかける』 という考え方です。 図4は『技術は全て、 自然・社会環境への働きかけであり、 政策は変化した環境に対し、 人間が技術も用いて自分達自身を 適応させる自己制御だ』 という考え方です。 図3と図9は、 『環境や課題への働きかけという、 技術と政策の共通点に注目して、 横並びにした説明』であり、 個々の人間や組織からみて、 技術と政策の使い分けを 考える時に便利です。 図4と図9は、 『社会的な決定の有無という 技術と政策の相違点を重視して、 対比した説明』であり、 より広く社会全体からみて、 皆で一緒に解決法を 考える時に役立ちます。 |
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