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投稿日時 2022-01-16 16:47:42 投稿者 平 一 このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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1 技術と政策は文明の両輪! 人類は、文明により繁栄を得ました。 文明には、六つの要素があると思います。 ①科学・技術(知る) ②経済・社会活動(する) ③制度・政策(決める) ④物的資源(モノ) ⑤人的資源(ヒト) ⑥自然・社会環境(環境) これらの要素を長期的にみると、 次のような順番で変わります。 まず、①科学・技術が発達すると、 ②経済・社会活動が豊かになると共に 複雑・加速化します。 すると③制度・政策が利害調整を行いますが、 他方でその限界を突破するため、 政策は新たな科学・技術も求めます。 しかし、科学・技術は④物的資源に実用化されないと、 経済・社会活動を変えられません。 制度・政策も⑤人的資源により実現されないと、 経済・社会活動を健全に保てません。 さらに、政策が新技術を求める際には、 地形・気候や資源の産出、 歴史的な社会状況や国際関係といった、 ⑥自然・社会環境が影響します。 そこで私は、これら文明の六要素、 3つの文明活動要因と3つの内外環境要因を、 変化・課題化の順に並べた図を考え、 〝文明の星〟と名付けました。 (以下では技術、政策、社会活動のように 略することもあります。) 文明について考えるときに重要なのは、 技術と政策だと思います。 文明活動の本体は、 全ての人々が営む社会活動ですが、 〝自然〟から富を生み出し、 社会活動を豊かにするのが技術、 〝人間〟間で富を分け合い、 社会活動を健全に保つのが政策です。 技術なくして文明の発展なし、 政策なくして文明の持続なし。 技術と政策は文明を支える二本柱あるいは、 文明を動かす両輪、両翼といえましょう。 では人間のいかなる性質、属性が、 技術と政策を生み出したのでしょうか? それは人間が持つ知性と人間性であり、 その本質は限りない想像力と欲求だと思います。 2 限りない想像力が技術を生み出す! 技術を生み出す、知性とは何でしょうか? それは発達した脳神経系などの情報処理器官により、 環境の違いや変化に応じて活動を制御し、 より良く生きられる生命活動能力です。 実際的には、抽象的な思考能力により、 物事の間の因果法則を発見し、 原因に働きかけてよい結果を得る能力です。 技術とは『こういう時にこうすれば、 こうできる』という因果法則、 すなわち一般的な因果関係です。 技術の元になる科学はより広く、 『こういう時はこうなる』という法則や、 理論(法則の体系)を発見する活動です。 因果法則は、合理的な推論により発見されます。 しかし、それだけでは仮説にすぎず、 実験や観測で実証されれば〝法則〟とされ、 誤りならば〝空想〟だったことになります。 推論と空想は地続きであり、両者を合わせて 広い意味での〝想像〟と呼ぶことができます。 想像力と言えば、知性というより芸術文化など、 感性の話なんじゃないか?とも思いますが、 『こういう時はこうなるのでは?』という仮説も 広い意味では想像力の所産でありました。 以上は、主に経済・社会活動を豊かにする、 自然科学的な技術について述べました。 しかし、広い意味では経済・社会活動の一部である、 制度・政策の生産性(効率性)を高める、 社会科学的な技術においては、 もっと驚くべきことがいえます。 人々を動かす社会科学的技術では、 合理的推論により発見された法則に加えて、 権利・義務・法人格・法的役職などの法律概念や、 一定規格の紙片・金属片や電子情報がもつ貨幣価値、 あるいは宗教・思想的概念といった、 完全な|虚構《フィクション》さえも、 技術の基礎になる場合があるのです! つまり知性とは、合理的な推論から 完全な空想にまで至る想像力であり、 それが、社会活動を助ける自然科学的技術や、 政策を助ける社会工学的技術を可能にします。 知性=無制限的な想像力が、 二種類の技術を可能にするのです。 3 限りない欲求が政策を求めさせる! 政策を生み出す、人間性とは何でしょうか? それは、欲求の多様性・可変性だと思います。 欲求とは、遺伝的に組み込まれた本能に加え、 後天的な環境に応じても変わる、 知的活動の動因です。 科学的には、脳神経細胞内における、 生化学的な電位変化などとして説明されます。 政策とは『様々な欲求に基づく意見があるが、 今はこうすべきである』という、 社会的な意思決定です。 制度とはより一般的に、『こういう時は こうすべきである』という形にまとめた 社会的意思決定(法規)の体系です。 技術が進歩すると、経済・社会活動は 豊かになると共に複雑・加速化するので、 単純で固定的な本能だけでは営めず、 人間の欲求は多様化・可変化してゆきます。 そこで様々な欲求の衝突を緩和するため、 利害調整のための政策が必要になります。 人間性といえば欲求というより、善意や希望など、 もっと美しい言葉も思い浮かぶのですが、 人間は色々な希望や欲望を持つ複雑な生き物だ、 と言われると、その方が客観的にも感じます。 以上は、主に経済・社会活動を助ける、 一般的な政策について当てはまります。 しかし、広義では経済・社会活動に含まれる、 科学・技術の健全性を確保するための、 技術的(いわゆるハード的)政策では、 違うところもあります。 科学・技術を助ける技術的政策も、 政策という意味では利害調整なのですが、 今ある技術のもとでの利害調整ではなく、 その限界を越えるために、 様々な在来技術の向上も含めた、 新技術の開発・普及を促す、 という特色があるのです! つまり人間性とは、 多様で可変的な欲求を持つことであり、 それが、社会活動を助ける利害調整政策や、 技術を助ける技術的政策を必要とさせます。 人間性=無制限的な欲求が、 二種類の政策を必要とさせるのです。 4 想像力、欲求と文明 以上の関係を時系列の順に並べてみると、 ①想像力が、技術を生む ②自然科学的技術が、社会活動を豊かにする ③社会活動の複雑化が、欲求を多様化させる ④欲求の多様化が、利害調整政策を必要とさせる ⑤政策の実現を、社会工学的な技術が助ける ⑥技術的政策が、さらなる技術の導入を助ける となります。 それらを内容的にまとめると、 想像力(知性)→技術→社会活動・政策→文明発展 欲求(人間性)→政策→社会活動・技術→文明持続 となります。 人間が持つ二つの性質のうち、 限りない想像力による知性が技術、 限りない欲求という人間性が政策を生みます。 さらにその技術と政策が他の二活動を助け、 ロータリーエンジンのように|循環《サイクル》を回して、 文明を発展させ続ける、というわけです。 ちなみに、この考えをもう少し広げると、 人間の限りない想像力と欲求は、 重なる部分も多く、必然的に|相伴《あいともな》う、 同じコインの表裏のようなもので、 広い意味では同義とさえいえるではないか? とも思います。 高度な推論・事実認識と可変的な欲求・意思決定は、 どちらかだけでは役立ちません。 |人工頭脳学《サイバネティクス》でいえば、 それらは入力・出力として必ず|対《つい》で扱われ、 人工知能もまた、 環境認識と活動制御の領域からなります。 実際の成り立ちをみても、 想像力が技術の進歩をもたらし、 社会と政策の複雑化を通じて欲求を多様化させる、 その欲求が政策の発展を導いて、 社会と技術の発展により想像の領域を広げるという、 不可分的な相互作用の関係があると思います。 知性は無制限的な想像力(特に合理的な推論)、 人間性は無制限的な欲求(特に善なる部分)に 重心を置いた言葉でありましょう。 しかし、言葉には多義的なところもあります。 両者の一体的な相互関係を知っておくことも、 人間、社会や文明を考える際に役立つと思います。 人類が知性を活かし、人間性を御して、 技術と社会と政策の好循環を作り出すことにより、 地球上における文明の持続的発展を実現し、 将来的には地球外にも文明活動を拡大して、 さらなる繁栄を得られるよう、期待します。 |
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