投稿日時 2022-01-01 00:20:25 投稿者 平 一 このユーザのマイページへ お気に入りユーザ登録 |
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(1)文明の定義 私達は今、様々な問題に直面していますが、 その解決には、人間がこれまで何によって栄えてきたかを 知ることが有益だと思います。 人類は、文明によって現在の繁栄を得ました。 文明の最も|簡単《シンプル》な定義は、 〝高度な技術を伴う知的生命活動の様式〟だと思います。 知的生命活動とは、脳神経系のように発達した情報処理器官を用い、 環境の変化に応じて活動を制御することにより、 よりよく自己と種族の保存ができる、 すなわち、より良く生きられる生命活動です。 それは抽象的な思考能力により、 『ああいう時はああなる』(法則)、 『こうすればこうできる』(技術)といった、 物事の間の一般的な因果関係を発見し、活用する能力です。 もっと簡単にいえば、物事の原因に働きかけることにより、 生存に好ましい結果をもたらす能力です。 (2)三つの文明活動 文明の特徴としては、農耕や土木、文字などの技術、 都市の形成、人口の増大、独自の文化、 政治を含めた社会的分業などが|挙《あ》げられますが 技術以外のものは、技術が必然的にもたらすものといえます。 例えば、農耕技術により生活が豊かになり、都市ができて、 大勢の人々が商工業や文化活動を営むようになると、 それらを社会全体で効率的に行っていくために、 行政も含めて、様々な活動が分業化していくでしょう。 そこで、様々な文明活動について調べ、考えたいときには、 まずは科学・技術を出発点とし、 それらを知的生命活動の|過程《プロセス》に従って分類していけば、 合理的・体系的に、分かりやすく理解できるのではないかと思います。 知的活動の過程は、『どうなっているか知る』(認識)、 『どうすべきか決める』(決定)、 『その通りにする』(行動)の三段階に分けられます。 そこで文明活動もまた、科学・技術(社会的な事実認識)、 制度・政策(社会的な意思決定)、 経済・社会活動(社会的な現実行動)に分けられます。 (3)三つの文明条件 〝科学・技術〟が進むと、〝経済・社会活動〟が豊かになりますが、 それと同時に複雑・加速化します。 そこで人々の利害を調整し、また次の技術を開発するためにも、 〝制度・政策〟が必要になります。 しかし技術は、農地や建物のような、 〝物的資源〟に具現化されないと社会を豊かにできず、 政策もまた、健康で教育を受けた、 〝人的資源〟により実現されないと社会を健全に保てません。 また、政策が新技術の開発・活用を行う時には、 天然資源や国際情勢などの〝自然・社会環境〟が、 促進または制約条件として働きます。 これらは文明活動に影響を及ぼす、内外の環境条件です。 (4)『文明の星』 以上のような3つの文明活動要因と3つの内外環境要因、 合計6つの文明要素を、 〝ダビデの星(The Star of David)〟や〝|籠目紋《かごめもん》〟といわれる、 |六芒星《ろくぼうせい》(✡)の形に並べた図から、 文明について考えていくことができます。 私はこの考え方を、『文明の星』理論(仮説)と名付けました。 私達は今、文明の転換期を迎えています。 生活水準の向上や国際社会の一体化が進む一方で、 地球環境の限界や社会活動の複雑化、我々自身の少子高齢化、 政策の国際化や民主化の必要性など、多くの課題も生じています。 そうした課題を解決できる新技術はすでに現れつつありますが、 新たな技術を活用できる政策も求められています。 私達が〝文明〟という|概念《コンセプト》により、 広い視点から包括的に、筋道立てて分析的に、バランス良く総合的に、 人々の社会活動やその必要条件を考えてゆくことができれば、 それはより良い技術や政策の創造と実現につながり、 人類社会のさらなる発展に役立つのではないかと思います。 |
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