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9 『想像』説明図

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投稿日時
2018-10-14 02:21:02

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平 一

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図1の説明において、
文明とは〝高度な技術を伴う知的生命活動の様式〟である、
と書きました。

現在のところ、文明生活を営んでいる生物は、人間だけです。
では、人間のどのような性質が、それを可能にしているのでしょうか?

高度な技術を持てるような、高度な知性の特徴とは、
限りない想像力と欲求だと思います。

ここでは前者の想像力が、3つの文明活動に対して個別的に、
どのようにして好ましい影響を与えるかを描きました。

ここでいう想像力とは、合理的な推論から完全な空想にまで至る、
抽象的な思考能力です。

第一に、想像力は、科学・技術の研究・開発を可能にします。
合理的な推論は、科学・技術の目的である、
法則性の発見(ああいう時はああいうことが起きる、
こうすればこうできるという、一般的な因果関係の認識)や、
法則性を体系化した理論の形成を可能にします。

また、推論と空想の境界は地続きです。
様々な科学的仮説は、実証されれば事実となり、
誤りと分かれば想像だったことになります。
|例《たと》えば生命の起源や燃焼の過程、
原子や宇宙の構造に関する学説の歴史は、それを示しています。
波動関数理論や超弦(超ひも)理論仮説に至ってはもはや、
『事実は小説よりも奇なり』と思わせる内容です。
そこでここでは推論から空想までを、想像という言葉でまとめました。

第二に、想像力は文明活動の本体すなわち、
全ての人々による(行政・文化活動も含めた)経済・社会活動の
基礎にもなっています。
こんな商品や政策、家事の工夫があったらいいなという思いが、
日々の仕事や家庭生活の生産性や健全性を高めています。

第三として、意外なことに想像力は、
完全な|虚構《フィクション》であっても、社会科学(社会工学)的な技術の基礎になり、
制度・政策の実現に役立っています。
権利・義務や法人格・役職などの法律概念や、
一定規格の紙片や金属片、電子情報に与えられる貨幣価値、
といったものが、それにあたります。

以上のように、知性の一翼をなす想像力は、
科学・技術、制度・政策、経済・社会活動という、
3つの文明活動全てに対し、それらを可能にしたり、
支援したりするという働きを持っています。

私はそのことを、岸田秀先生やY.N.ハラリ先生の本で知りました。
両先生は様々な宗教や|思想《イデオロギー》もそれに含めていますが、
後者の方が新しい分、想像と事実の地続き性というか、
全てではないが事実的な基礎は多いだろうと思います。

|蛇足《だそく》ですが『 神や悪魔は異星人だった! 』といった、
『古代宇宙飛行士(古代の宇宙人)』仮説というのもあり、
そんな夢のある説に知的刺激を受けて素人SF小説を書いていたら、
この文明論を考えることができました。
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